ふしきせぼの:第11レース テセミヲオガエ(1999.11)

ぼんじゅーるむっしゅー。
コンドルくんとエビナさんのまゆげがかっこよかった。
福島にワイドを買いに行こうかなぁとなんとなく思う秋の昼下がり。

そんなことを聞かされるとは思いもせずに、いつものようにルションにいにあいさつ。

ルションにいはなぜか無口で、そして寝わらはみるたびに整理されていった。
なんだかやな予感がする。

「ルションにい、もしかして、何かあったの?」
「...来年、ホッカイドウに...イブリにいくことになった。」
「ホッカイドウ...、って、ゴエイテン?」
ホッカイドウかぁ...。
このシゴトには転勤というのがある、というのは知ってたつもりだった。現にキセキもあーいうシゴトのしかたをしている。そして、ぼくのいるところは特に転勤がおおい、というのは聞いていた。ぼくはここがとても好きだけど、いつかはどこかにいくことだって、きっとあるんだ。それは知ってる。
で、ぼくがここに来てから、ずっとぼくの隣にいた、あのルションにいが、ホッカイドウに戻るんだって...?
「...アケボノ」
ルションにいがクチをひらいた。
「ゴエイテン、じゃないぞ」
「?」
「エイテンとかサセンとか、そーいうことを、あまり言わないほうが、そのあとの自分のためになる」
「??」
「なんでお前がここにいるか、わかるか?」
「???」
「ここは、お前がいなきゃはじまらないところだからだ」
ぼくがいなきゃ...?
「テレビでも見るか」
ルションにいはテレビをつけた。さっきの言葉がぼくの中でぐるぐる回っている。
「で、だれか来るの...?」
「クリグリ...」
「クリリアントグリーン?」
「怒られてもしぃらないっと。クリスタルグリッターズっていう、イカシタやつだ」
「すっごい〜」
「でも、お前はお前で、今のままで、クリグリさんにも今のお前で接したらいい」
テレビはエリザベス女王杯をうつしていた。

「クロックちゃんだ...」
「クロックちゃん?」
「クロックちゃんは、このあたりで生まれた子なんだよ。秋華賞はびっくりしたなぁ」
「かわいい」
「いつかG1取らせてあげたいなぁ」
「...そういうことの繰り返しが、ぼくにルションにいのことを「ゴエイテン」なんて言わせなくする」
「ゴメイトウ」

その日、ぼくはルションにいと朝までいろいろなことを話した。元気でがんばっていようと約束した。
でも、ぼくはいつかホッカイドウに行って、バーリンちゃんにもういっかい会いたいなぁなんて思う。やっぱり。